紅茶の産地であり、多様な自然と文化が共存する島国

写真:仏教の聖地として、ユネスコの世界遺産に登録されている、スリランカ中部の都市「キャンディ」の街並み。その象徴として親しまれているキャンディ湖は、19世紀初めにキャンディ王国最後の王であるウィクラマ・ラジャシンハにより造られた人造湖。

島の中心部から南にかけての丘陵地帯の茶園や、19世紀から続く英国式紅茶の歴史がギュッと詰まっているスリランカは、まさに「生きた紅茶の博物館」です。

リトルイングランドと称される街並み

紅茶の産地として国内でも名高いヌワラエリヤには、スコットランドの街を彷彿とさせる建物が多く残され、リトルイングランドとも呼ばれています。美しい庭園や15世紀末から17世紀初頭にかけてイギリスで普及したチューダー様式の木造ホテルや重厚な石造りのバンガロー、アジア最古のゴルフ場、さらにメインストリートにはコロニアル様式の建物も数多く見られます。

世界遺産、南端の港の都市ゴール
熱帯の高山からは常に雲が湧き立ち、地上に運ばれた雨水は渓流となって大地と茶園を潤す。ヌワラエリヤ地区、標高1,140m に位置するデボン滝
写真:ヌワラエリヤ近郊のヘリタンス・ティー・ファクトリー(Heritance Tea Factory)は、1930年代の紅茶工場の設備をそのまま改装した高原リゾートホテル

紅茶だけではない、魅力に溢れる島国

まるで、アボカドを縦に割った断面のような形状のスリランカ。アボカドの種の部分にも似た島の中央部の高原地帯には標高2,000mを超える山々が連なり、斜面という斜面に紅茶畑が広がっています。インドよりも赤道に近く、南の島らしいヤシの木々が連なる光景や、小さな漁村の素朴な港の風景をはじめ、イギリス人の避暑地として発展してきた街並みなど、小さな島に多様な自然と文化が混在しています。 また、インドから初めて仏教が伝わった国として、ふんだんに装飾を施した仏教遺跡や寺院が各地に良好な状態で残され、8つの世界遺産を誇ります。

ピンナワラ象孤児院の象は水浴びが大好き
スリランカの古都キャンディにある仏歯寺周辺

かつての製茶工場やバンガローに滞在

セイロンのもう一つの魅力は、19〜20世紀の紅茶に関する建物や施設を、当時の面影を色濃く残しつつ観光資源として守り続けていること。バンガローと呼ばれる昔の農園主の邸宅や、古い製茶工場をリノベーションしたホテルや博物館など、お茶好きの旅行客にとって魅力的な施設が数多く残されています。美しい茶園の風景とあわせて、一度は訪れてみたい紅茶の聖地です。

キャンディの市場に並ぶ野菜やフルーツ
ヌワラエリヤのお茶工場では歴史のある機械が美しく整備され現役で活躍している
結婚式に参列する民族衣装の人々

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