株式会社 ルピシア
代表取締役社長 森重かをり
- 森重社長は1999年にルピシアに中途で入社されたのですよね。入社した頃は、ルピシアでのお仕事はいかがでしたか?
- 刺激的な毎日でした。当時、中途で入社したら、その部署の仕事はできると思われるのが当たり前。できないとは言いにくい。
実際には、今まで経験したことがないことばかりです。求められることの違いに戸惑うこともありました。
でも、毎日が新しいことばかりで、刺激があり楽しかったです。
- はじめはどちらの部署に所属されていたのですか。
- 当時、新部署として発足するために中途採用の募集をかけていた「商品部」です。
前職の化粧品の商品企画、マーケティング部門での経験を生かせるのではないかと応募し、中途採用で入社しました。当時のルピシア「商品部」は、商品企画、中味外装設計のような商品開発業務だけではなく、各種見積りと原価確認、自社工場への納品条件確認、海外からの買い付け、さらには、販売方法やディスプレイ、販促など全て自分で担当しました。最初はわからないことだらけで、中途なのに(できないことが)恥ずかしいと思うことが多々ありました。
- 入社した時は、ルピシアでどのようなことをやってみたいと思っていましたか。
- まずは「商品部」に所属しましたので、商品に関わることは何でもやってみたいと思いました。結果的には、自分の経験上の「商品開発」をはるかに超えた経験をさせていただきました。一例ですが、当時水口社長(現会長)から突然呼ばれ、「香料って本場はヨーロッパだよね、直接買ってきて」と言われた時には、本当に驚きました。
経験が全くないですし、理系の自分からすれば無理なのでは?という疑問も。でも、創業当時「お茶」も同じように、インドやスリランカに直接買いに行ったことを当時の上司から伺い、「香料もできるのかな、すごいな、面白い会社だな」とワクワクしました。そして、上司からは「大使館にあたりなさい」と一言。
- 大使館ですか!実際に連絡したのですか。
- フランス、ドイツ大使館に連絡を入れ、取引ができそうな現地の会社を紹介いただきました。続いて、つたない英語で会社概要と香料を仕入れたい旨の手紙を書いて、返信いただいた会社にアポイントをとって直接商談に行くという流れでした。その時は、結局サンプルはいただいてきたものの、輸入には至らなかったのですが。
- 貴重なご経験でしたね。
- やってみたら面白かったのね。自分で仕事の幅をきめることなく、なんでもやってみることができる環境にも常にワクワクしていました。毎日新しいことばかりで、できるかどうかわからない点はドキドキしていました。当時は今よりも部署も少なく少人数で運営していましたので、「こうしてみたい、やってみたい」という提案が通れば、すぐにその方向で動けることも面白かったですね。
- 社風として、そんなところがあったのですね。
- 水口社長(現会長)からは「自分たちでやってみる」ということを実体験させてもらいました。そんな社風でしたね。常識にとらわれず自分たちでやってみると、今までできなかったこと、逆に、無駄だったことに気づかされます。
また、「製造小売業」という点も、何でも自分たちでできるというところが魅力的です。我々が開発した商品を販売するのは我々の仲間である店舗のスタッフですから、商品(お茶)の魅力やまつわる物語(背景)をしっかり説明すれば、お客様にも届けられる。
- お茶に込めた思いを伝えていく、という点は、今でも社内で大切にされていますね。
- 旬のお茶の買い付けの時期には、店舗や本社の様々な部署のスタッフがテイスティングに参加する機会を設けています。実際に現地に赴き買い付けるのは専門部署の役割ですが、お茶屋ですから「旬のお茶が摘まれ始めたよ、新茶が届きはじめたよ」という空気感を会社全体で共有していきたいという気持ちが強いですね。会社の規模が小さかった頃はあたり前でしたが、部署がわかれて専門領域が強くなってく中でも、「旬のお茶」時期の喜びは、変わらずにスタッフに伝わっていると自負しています。
- 「ルピシアらしさ」って、他にどんなことがありますか。
- お客様との接点を大切に、「美味しい」と笑顔になっていただくことが商売の原点。商人の喜びです。私はうちのスタッフに「我々は商人である」ということをお伝えしています。水口会長や創業メンバーの方々から受け継いだルピシアのいい遺伝子をこの先もスタッフに伝えていきたいと思っています。
- これからルピシアで働いてもらう方に望むことはありますか?
- 根本的に「素直」であることかな。時には、自分の考えを突っ張ることも必要ですが、素直な方って柔軟性があって、真摯に見つめ直すことができる。やってみようかなと吸収することができる。もう一つ言うならば、「自分の頭で考えることができる人」。常識に捉われず、また皆がそうしているからではなく、自分の頭でしっかり考えてやってみることができる人。相反することを言っているかもしれないですが、共存できることなのでは?
- これからのルピシアは、どのようになっていくのでしょうか。
- 時代やライフスタイルの変化により、お茶の飲み方も変わってきました。ルピシアには現在、茶器や雑貨、お茶に合うお菓子なども含めて様々な商品があり、その中から商品をお選びいただくことができます。そんなルピシアでのお買い物は、いつもワクワクするものであってほしいですが、今後はさらに『ワクワク無限大』のような付加価値をご案内していきたいですね。お店に来たら、ルピシアに触れ合ったら、常に新しい発見ができるブランドでありたいです。『お茶といえば、ルピシア』、『ルピシアに行ったら何か面白いことあるよ』、ということを常に発信できる会社でありたいと思います。