写真:今年のファーストフラッシュを摘む光景(タルボ茶園)
ヒマラヤを望む高原のリゾート地に、19世紀半ば、紅茶の製法と選り抜きの茶葉が運ばれました。それがお茶ファンなら誰もが耳にしたことのある「ダージリン」です。ダージリン ファーストフラッシュを買い付けるためにダージリンを訪れたバイヤーの、旅の手記をお届けいたします。
特集「いざ、ダージリン。」目次
最高峰のお茶の産地、ダージリン
ダージリン紅茶の故郷は、インド北東部に位置する西ベンガル州ダージリン地方。ブータンとネパールに隣接し、霊峰カンチェンジュンガ(8,586m)の麓に広がる景勝地として、世界中から多くの観光客が訪れる場所です。
ダージリンの茶園は、標高600〜2,500mの山の斜面に点在していて、茶樹は2,000mの高地から急峻な谷底に至るまで様々な場所に植えられています。日中はヒマラヤ山麓の強い直射日光に当たり、夜間は低温となるため寒暖差で一日に何度も霧が発生。こうしたダージリン特有の自然環境が、世界最高と称される香りや味わいを育んでいます。
上質なお茶作りには二つの要素が必要です。一つは茶樹の栽培に適した土地と風土。もう一つは人と技術、栽培や製茶に精通したプロフェッショナルと、それを支える優れたスタッフ。そして、これらの条件を満たしてなお、さらなる高みを目指す情熱とビジョンが、ダージリンにはあるのです。
ダージリン、その起源
1835年イギリス東インド会社が当時のシッキム王国よりこの地を買収してから、人々に涼しい山の気候が好まれ、在印英国人の避暑地として、また英国人子弟を中心とした学校の街、そしてヒマラヤ地方への登山基地となり発展しました。ダージリンという名は、チベット語で「ドルジェ・リン(Dorje Ling)」「雷電の土地」の意味を持ち、昔この町にあった仏教僧院の名を、英国人が呼びやすい呼称にしたとも伝えられています。
この地で本格的な茶栽培が開始されたのは1852年。スコットランド出身の植物採集家(プラントハンター)ロバート・フォーチュンが、中国福建省・武夷山(ぶいさん)などから持ち出した2万株の茶樹や茶の種を植樹したことに始まります。当時、紅茶の製法は中国清朝がほぼ独占する国家機密でしたが、戦乱などで国土が弱体化していたこともあり、フォーチュンは選りすぐりの茶樹とノウハウを中国から持ち出すことに成功したのです。
知れば知るほどに、そのストーリーにも魅了されてしまうダージリン。
魅力を探る、春一番の茶園を巡る旅へとご案内しましょう。
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ダージリン ファースト フラッシュ 2024
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