「台湾茶」とは、台湾で生産された茶葉を製茶したお茶の総称です。その歴史は、1800年頃に中国から伝えられたのが始まりとされ、中国とは異なる地理や気象条件などから、独自の発展を遂げました。紅茶や緑茶も生産されていますが、青茶と呼ばれる烏龍茶の一大産地として世界的に知られています。種類が豊富なだけでなく、その優れた技術と品質で高い評価を得ています。
01.烏龍茶は、別名「香りのお茶」とも呼ばれます。
烏龍茶の魅力は、〝香り〞を抜きにして語れません。台湾や中国には、聞香杯(もんこうはい)という烏龍茶の香りをきく専用の器があり、お茶が冷めていく間の微細な香りの変化を味わう楽しみも。烏龍茶の香りに注目してみると、森や花、果実やミルクなど、その豊かさのとりこになります。
「疲れた時に口にすると、香りだけでギスギスしていた心がほぐれる気がします」(Cさん)
02.台湾茶も、旬は特別です。
台湾は、沖縄のさらに南に位置する亜熱帯の島。一年中お茶が栽培されており、季節によってさまざまな味わいが楽しめます。緑の烏龍茶と呼ばれる現在主流となっている烏龍茶の旬は、主に春と冬の年に2回。例年4〜5月頃に収穫した新芽で作る、日本の新茶に相当する「春茶」と、生産量が少なく、甘みや香りのバランスが優れた「冬茶」。このほかに、2月下旬〜3月頃にわずかに芽吹いた茶葉で作られる「早春茶」もあり、青く透き通った爽やかな味わいで台湾茶の愛好家から珍重されています。
「一般的に〝香りは春茶、旨みは冬茶〞といわれますが、夏茶もおいしいです」(Aさん)
03.発酵の度合いでバラエティー豊かに。
緑茶と紅茶、烏龍茶は、元をたどれば同じチャノキの葉から作られていることは、皆さんもご存じの通り。それぞれ色合いや香り、味わいがまったく異なるのは、茶葉の発酵度合いに違いがあるからです。
お茶は、不発酵茶・半発酵茶・発酵茶に大別することができます。発酵していない不発酵茶にあたるのが緑茶、最大限に発酵した発酵茶は紅茶で、不発酵茶と発酵茶の中間程度に発酵した半発酵茶が烏龍茶です。半発酵とひと言でいっても、実際には緑茶に近い低発酵から限りなく紅茶に近い高発酵まで、多くのバリエーションがあります。
「最近では、台湾の紅茶に注目が集まっています。クオリティーが高く、まろやかな味わいでお気に入りです」(Aさん)
04.現代の台湾烏龍茶の主流の色は、「緑」です。
一般的に、烏龍茶の水色といえば、琥珀色や茶色を連想する人が多いはず。ところが、現代台湾の烏龍茶の主流は、緑色から淡い萌黄色。若い茶葉を摘み、発酵は軽め。〝清香(チンシャン)〞と呼ばれる爽やかな風味と香気、エメラルドや翡翠を思わせる青々とした茶葉の仕上げが特徴です。
「緑の烏龍茶は、ホットでもアイスでもおいしく飲めるのが魅力です」(Bさん)
≫ 極上の「緑の烏龍茶」
05.茶器にこだわらず自由に楽しめる、懐の深いお茶。
「台湾茶っていれ方が難しそう」「専用の茶器がないと楽しめないのでは?」ーーそんなイメージを抱いて足踏みしているなら、実にもったいない。台湾茶を日常的に飲んでいる人ほど、茶器にこだわらない人が多いといえるかもしれません。いつもの急須やハンディークーラー、マグカップに直接茶葉を入れて注いで飲むという人も。台湾茶は、どんな茶器でもおいしく味わえる、懐の深さが魅力です。
「小さな茶器でいれると、茶葉が一気に広がらず、比較的長く楽しめます」(Aさん)
≫ 台湾茶におすすめの茶器
06.1煎で終えてしまうのはもったいない!何煎でも味と香りの変化を楽しめます。
台湾茶が何煎でも楽しめるその秘密は、特有のころんと丸まった茶葉の形にあります。約10時間かけて、包んで、揉んで、ほぐすという作業を20回近くも繰り返して作られる茶葉は、煎を重ねるごとにゆっくりと開き、味わいや香りが変化していきます。1回分の茶葉で4、5煎は楽しむことができるので、茶葉のおいしさを存分に堪能できます。
「私の定番の飲み方は、カップに直接茶葉を入れて、お湯を注ぎ足しながら飲む〝だらだら飲み〞です。台湾茶葉は大きいので、カップに茶葉が残っていても口に入ってしまうことはなく、茶葉を浸けたままでも、渋くなりすぎる心配もありません。台湾茶は、コスパの良いお茶だと感じています」(Dさん)
07.「オリエンタルビューティー」の名で世界に知れわたる、高級茶「東方美人」。
とろけるような甘さと、優雅な香りが魅力的な台湾を代表する銘茶「東方美人」。18世紀から20世紀中頃にかけて、その優れた品質と希少性から世界屈指の高級茶として名をとどろかせ、英語では、「オリエンタルビューティー」と呼ばれています。その独特な風味は、ウンカという虫にかまれた茶葉が、自ら傷を癒やそうとする働きによって生み出された、神秘的な味わい。
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「ハチミツのような独特の甘みが広がり、ひと口飲めば〝これぞ高級品!〞と誰もが感じる、たぐいまれなお茶です」(Dさん)