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旅する世界のティータイム。世界各国の人々はどのようにお茶を楽しんでいるのでしょうか。
今回の舞台はフランス。ここ数年、若い世代を中心に人気が高まっているハーブティー「ティザンヌ」について、パリ在住のライターがレポートします。
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【レポートしてくれた方】
中村登美代
在仏25年。日本在住時代はJTBに勤務。現在は観光のアシスタントをするかたわら、日本語とフランス語の教師も務める。
フランスの喫茶店「サロン・ド・テ」とは?
私は、フランスに住んで25年になります。フランスというとカフェのイメージが強くありますが、「フランスはコーヒー文化の国? それともお茶文化の国?」と聞かれたら、おそらく「両方」と答えるでしょう。フランス人にとって、コーヒーは日常的に飲むものなのに対し、お茶は健康的にリラックスしたい時間に飲むもの。どちらも、とても大切な存在です。
フランスには、カフェとは別に「サロン・ド・テ」と呼ばれるティールームがあります。18世紀のフランスでは、カフェは政治家や芸術家など男性たちの社交場でした。女性は自由に出入りできなかったため、カフェとは異なるおしゃべりの場として生まれたのがサロン・ド・テ。ここで貴婦人たちは甘いお菓子と一緒に、当時、コーヒーよりも高級品だった紅茶を楽しんでいたそうです。
そんなサロン・ド・テで楽しむお茶文化は現代にも続いていて、心くすぐるかわいい外観、ホームメイドケーキがたくさん並ぶサロンは、特に女性にはワクワクする空間です。サロンではおいしいお菓子と一緒に紅茶やコーヒーも楽しめますが、特に近年、若い世代の注目を集めているのがハーブティー。選べる種類も豊富で、人気ぶりがうかがえます。
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写真右:サロン・ド・テ内のホームメイドケーキ
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ティザンヌがあれば「三世代薬いらず」!?
ハーブティーは、フランスでは「ティザンヌ」と呼ばれています。ノンカフェインで体にやさしいティザンヌはここ数年、特に人気が高まっていますが、古くから植物療法としてフランス人の生活に根付いてきました。
「僕の家族は、三世代にわたって薬を飲んだことがないんだ」。そう語るのは、地方出身のフランス人の友人。驚くことに、風邪や火傷、胃腸の疲れといった体の不調は、これまですべて自宅の畑で育てたハーブを使って治してきたそう。今でも「水代わりにティザンヌを飲んでいるよ」と話します。
フランスで親しまれているティザンヌの種類は実に豊富ですが、中でもポピュラーなのはリラックス効果のあるカモミールやヴェルヴェーヌ、消化を助けるミント、アンチストレスに効くラベンダーなど。これらは一般家庭でもよくストックされていて、効用の異なるティザンヌを何種類かミックスしたり、ちょっぴり苦くて飲みにくいティザンヌにはフレーバードティーを加えたりと、飲み方もさまざまです。
薬草薬局「エルボリストリー」を体験
フランスには、「エルボリストリー」と呼ばれる薬草薬局があり、ひとりひとりの症状に合わせてティザンヌを調合してもらうことができます。そんなエルボリストリーで、私も以前から気になっていた「女性の体調を整える」ティザンヌを購入してみることにしました。
丁寧に相談にのってくれた店員さんがすすめてくれたのは、ラミエールブラン(オドリコソウ)、シャードンベニ(キバナアザミ)、ブッセロール(クマコケモモ)と聞いたこともないハーブをミックスしたもの。早速、教えてもらった通りに鍋で煮出してみると、癖がなくて飲みやすくほのかに甘い味わい。これを日に2回飲むと、早ければ2週間で効き目が感じられるといいます。
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パリにある老舗のエルボリストリー
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エルボリストリー内には、たくさんのティザンヌがずらり
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調合してもらったハーブは鍋で煮出して飲みます
ティザンヌが近年注目される理由とは?
古くからフランスの生活に根付いてきたティザンヌが、ここへきて若い世代の人気を集めるようになったのは何故なのでしょう?
理由の一つが、健康志向の高まり。アメリカやイギリスの若者の肥満のニュースがフランスで大きく報じられたことで、健康やダイエット、デトックスへの関心が一気に高まりました。
また、ここ数年で自然食品やオーガニック専門店が次々とオープン。お茶専門店や薬草薬局に行かなくても、カラフルでかわいいパッケージに入ったさまざまな種類のユニークなティザンヌが手軽に手に入るようになりました。
実際、ダイエットやデトックス、アンチエイジングに効果があるティザンヌは、若者の間で大人気。他にも、自分で調合するティザンヌ作りのワークショップに申し込みが殺到したり、人気の薬草医「エルボリスト」のユーチューブが話題になったりと、今までにないほどフランス人の健康に対する意識、特に若い世代での関心が高くなっているのを感じます。
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写真左:オーガニック専門店のお茶売り場
写真右:オーガニック専門店には、ティザンヌと相性のいいハチミツの種類も豊富
家族で過ごすティータイム
フランスでも、昨年から長く続いたロックダウンの影響でステイホームの時間が増えています。そんな中、家族と過ごすティータイムは、ささやかな幸せであり、リラックスできる貴重なひと時です。
いつも以上に健康に気を使うこの時期は、免疫アップや風邪予防が期待できるローズマリーやタイムのティザンヌにたっぷりのハチミツを入れていただくのが、我が家の定番。近いうちにお友達をたくさん呼んでお茶会が開けるのを待ち望みながら、今日もティータイムを楽しんでいます。
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家族でのティータイムは幸せのひと時
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【旅する世界のティータイム vol.5】 絆深まるティータイム、スウェーデンのフィーカ(Fika)とは?
今回の舞台は、北欧スウェーデン。スウェーデンのお茶文化「フィーカ(Fika)」の魅力をご紹介します。スウェーデン人にとっての大事な絆の時間「フィーカ」とは?
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【旅する世界のティータイム vol.4】 コーヒーとして愛されるイタリアの麦茶「オルヅォ」
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イタリアで巻き起こっているウェルネスブーム。カフェインを含まない人気のコーヒーとは?
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【旅する世界のティータイム vol.3】 台湾の暮らしに溶け込む、台湾茶の「今」
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亜熱帯に位置する台湾では水分補給が不可欠。台湾の街中にあふれる「奉茶」の精神とは?
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【旅する世界のティータイム vol.1】 紅茶大国イギリスで愛される「クリームティー」とは?
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