一見シンプルなメニューが多い朝ごはん。
実は心と体が元気になるエネルギーがたくさん詰まっているのをご存じですか?
おいしいお茶をおともに味わえば、お腹も心も満たされる幸せな一日が始まります。
奥深い 朝ごはんの魅力
生活様式の変化や健康意識の高まりで、朝ごはんをしっかり取る人が増えているといいます。日本にお米とみそ汁を中心とした伝統的な朝ごはんのスタイルがあるように、世界各国にもそれぞれの地域で親しまれている朝ごはんがあります。そんな朝ごはんと同じく、朝の一杯の飲みものは、私たちの生活に当たり前のように寄り添いながら、心と体をいたわってくれる存在です。
「朝ごはんはその国の歴史や文化、知恵が凝縮されたメニューです」。今回、そうお話しいただいたのは世界各国の朝ごはんを紹介するレストラン「ワールド・ブレックファスト・オールデイ」の設立者、木村顕(あきら)さん。朝の慌ただしい時間、簡単に作れて栄養バランスも優れている朝ごはん。気候や風土によって手に入りやすい食材は異なり、宗教や習慣によって食材への接し方も変わるそうです。そこで、レストランでも人気の台湾とフィンランドの朝ごはんからその国の文化や日常を覗いてみました。
台湾 手軽に栄養補給
古くから外食文化が盛んな台湾。街には屋台など安く食べられるお店がたくさんあり、平日の朝ごはんも外で食べるのが一般的。多民族が暮らす台湾は、多様な文化が育まれています。人気の朝ごはん、台湾風の卵焼き「蛋餅(ダンピン)」は、中国と欧米の食文化がミックスした料理です。ネギを混ぜた小麦粉の皮と卵を重ねて焼き、チーズやハム、ベーコンなど好きな具材を巻いて食べます。そんな台湾の朝に人気なのが、砂糖をたっぷり入れた甘いミルクティー。忙しい朝に手軽に満腹感を得られ、糖分もしっかり取って厳しい暑さに負けず一日をエネルギッシュに過ごせます。
フィンランド 長い冬を快適に
夏が短く冬が長いのが特徴のフィンランド。寒くて小麦が育ちにくいフィンランドでは、寒さに強いライ麦が作られています。伝統料理「カルヤランピーラッカ」は、ミルク粥をライ麦の生地で包んだパイに、卵とバターで作る「ムナボイ」と呼ばれる具材をのせて食べるボリュームたっぷりのメニューです。世界有数のコーヒー大国でもあるフィンランドでは、朝もやはりコーヒーを飲む人が多いそう。冬は太陽が拝めないことも珍しくなく、暗くて寒い朝は、カフェインで頭をすっきり目覚めさせて仕事に向かうのが日常です。
お茶との「おいしい関係」
普段何気なく食べて飲んでいるけれど、知恵とエネルギーが詰まった朝ごはんと飲みもの。現地では日常の組み合わせでも、もっと意識的に自由な掛け合わせで楽しめたら、朝のひと時がより豊かになるのでは?と考えた取材班は、台湾とフィンランドの朝ごはんにルピシアのいろいろなお茶を組み合わせてみることに。すると、合わせるお茶や飲み方によって引き出される朝ごはんの味わいが全く違って感じられることに驚きました。
例えば、甘いミルクティーが人気の台湾の「蛋餅」。正統派の紅茶「ベルエポック」のミルクティーを合わせると、満足感十分、エネルギーチャージにぴったりです。一方、ストレートティーを合わせてみると、すっきりとした味わいが蛋餅の油分を洗い流し、さっぱりと食べられます。
フィンランドの「カルヤランピーラッカ」は、卵粥のような優しさで、日本人にも親しみやすい味わい。コーヒーが定番のフィンランドですが、料理の繊細な味わいを引き立てるには「加賀 棒茶」がぴったりでした。焙じ茶の甘く香ばしい風味が食欲を刺激し、優しい味わいでありながら、元気に朝を始められます。
そんなふうに考えると、白いごはんとみそ汁、焼き魚や卵の日本の朝ごはんには、皆さんならどんなお茶を合わせますか? 日本の新茶を丁寧にいれて、新緑のお茶の香りを堪能したり、烏龍茶ですっきり味わったり……。
さあ、朝ごはんとお茶の「おいしい関係」をたくさん見つけて、気持ちよく一日のスタートを切りましょう。
蛋餅(ダンピン)のレシピ
〈作り方〉
- ボウルにAの材料を入れホイッパーで混ぜ合わせる。中央をくぼませ、ぬるま湯を加え、周囲の粉を少しずつ崩しながら混ぜダマにならないようによく混ぜる。
- 1をこして油、万能ネギを加え約1時間置いて全体をなじませる。
- フライパンに薄く油を塗り弱火にかけて予熱をする。フライパンを火から離して2の生地から1/2の量を流し入れ、フライパンを傾けて全体に広げ火に戻す。
- 両面を焼いて一旦皿などに取り出しておく(残り1/2の生地も3と4を行う)。
空いたフライパンに油小さじ1/2を熱し、溶き卵を流し入れたら固まる前に生地をのせ、ヘラで押えて密着させたらひっくり返す。 - 表面にシュレッドチーズを広げ、1/2にカットしたハムを横一文字にのせたら手前から巻き、綴じ目を下にしてまな板に取り出し、食べやすく包丁で6等分にカットして盛り付け、仕上げに台湾とろみ醤油風タレ(※)をかける。
〈台湾とろみ醤油風タレの作り方〉
- 耐熱容器に材料全てを入れよく混ぜる。
- ラップなしで電子レンジ600wに30~50秒かけ中心が沸々するまで加熱し、ダマにならないように素早く混ぜる。
カルヤランピーラッカのレシピ
〈ミルク粥の作り方〉
- 小鍋に材料の全てを入れ弱火にかけ、焦げないように混ぜながらおじや状に煮詰める。
- 生地に包む前に冷まし、4等分に分けておく。
〈生地の作り方〉
- ボウルに生地の材料を全て入れ5分ほど捏ねたら、ラップをかけて20分ほど生地を休ませる。
- 1の生地を4分割して、一つずつ丸める。
- 打ち粉をしたまな板の上で、麺棒を使い直径12cm程の丸形にのばす。
- のばした生地の上にミルク粥をのせ、余白を1cm残して平らに広げる。
- ヒダを作りながら包み、予熱したオーブン230℃で20分前後焼成する。
- ムナボイをのせる。
〈ムナボイの作り方〉
- ゆで卵を刻み、柔らかくしたバターと混ぜ、塩で味を調える。
ご協力いただいたお店
ワールド・ブレックファスト・オールデイ
世界各地の朝ごはんがメニューのカフェレストラン。
2ヵ月ごとに国を変えて世界各地の朝ごはんを紹介しています。
【外苑前店】東京都渋谷区神宮前3-1-23-1F
【吉祥寺店】東京都武蔵野市吉祥寺本町2-4-2-102