ルピシアのデザイン 空間とインテリア
商品名と番号が印字された木箱に入っているのは、量り売り用 の茶葉──
そう、ここは1994年に創業したルピシアの前身〈レピシエ〉の店内です。まるで、現在のルピシア店内のようではありませんか?
今日まで、販売のスタイルは変わっても、世界のお茶を選ぶ楽しさに満たされる空間づくりは、どの町のどんなサイズのショップでも変わることはありません。今号は、昨秋に特集した「ルピシアのデザイン」の第2弾。
お茶を主役にした店舗のデザインとは? 北海道・ニセコに完成した新社屋とは?ルピシアならではの空間・インテリアデザインについてご紹介します。
“お茶”のためのデザイン
さらに、遊び心もブレンドされています。
「木箱」は店の顔。
レピシエ創業当時からある木箱は、茶葉の量り売り販売のために製作したオリジナルです。その役目を終えた現在も、世界のお茶専門店ならではの“茶葉の種類の豊富さ”を体感できるアイコンとして、象徴的にディスプレイされています。
業界の常識を作り変えた
「サンプルカウンター」。
さまざまな茶葉を実際に見て、香りを確かめて購入できる── 現在では当たり前のこのスタイルは、創業時にオリジナルで開発したルピシアのフィロソフィーそのもの。紅茶、緑茶など年間400種類以上の茶葉を扱う店頭では、サンプルカウンターを中心に、お茶そのものの魅力が引き立つように設計されています。
思いがけない味に出会える
「オーダー試飲カウンター」。
ギフトや引き出物など、お茶選びの相談はもちろん、気になったお茶があれば試飲することができるスペースです。もちろん、オーダー試飲カウンターがなくても、試飲は全店で可能です。思いがけない味と出会え、産地の背景も知ることができる。店舗だからこそ味わえる体験です。
基本は同じでも
様々な表情で魅せる店舗。
木箱やサンプルカウンターなど、共通のアイテムを使いながら、各店舗では地域性やロケーションに合わせた個性もデザインされています。
お出かけの際に比べてみてください。
“未来”のためのデザイン
自然環境への配慮とこれからの働き方を見据えてデザインされました。
目の前にそびえ立つのは、支笏洞爺(しこつとうや)国立公園の西端にあり、日本百名山にも選定されている羊蹄山(ようていざん)。富士山を思わせる美しい姿から “蝦夷(えぞ)富士” とも呼ばれる、ニセコエリアのシンボルです。そのふもとで建設を進めていた本社屋が、2023年3月に完成しました。ニセコ町は、例年積雪量が2メートルを超える豪雪地帯。そこで、新社屋は屋根の雪下ろしが不要なだけでなく、屋根の積雪自体も自然の断熱材として活用。さらに、高窓を利用した自然通風・換気システムを採用するなど、風土に根ざしたエコフレンドリーな建築を実現しています。
円形のオフィスは、
コミュニケーションを丸くします。
北海道産の木材をふんだんに使った、円形の構造が特徴的な新社屋。どこまでも続くような奥行きと広がりを持つ円環状の形は、昔から上下の区別なく、自由な話し合いができるとされている“円卓”の発想を象徴しています。オフィス空間は、仕事場であると同時に、一日の長い時間を仲間と共に過ごす生活空間でもあります。そこで、自然の景観を損なわず、その上で内外の交流やコミュニティーにワンルームのような一体感をもたらす、フラットなデザインを採用しました。
自然の中は、人が最もクリエーションを発揮できる場所です。360度、自然と人を切れ目なくつなぎ、五感を豊かにする新社屋から、これからの未来の仕事場の形を模索していこうと考えています。
小さな美術館
「Petit Musée」が
倶知安町にオープン!
これまで、様々なお茶の魅力を伝えてきたルピシアのデザイン。
「Petit Musée」は、ルピシアの歴史とともに歩んできたデザインに再び触れていただけるデザインギャラリーです。皆さまのご来館をお待ちしています。